妙に寒々しい空間が広がっている

2011.09.30

「メシ・フロ・ネル」の3語に象徴されるように、子育てが終って、定年を迎え夫婦2人になっても、夫は語るべき言葉を持ちません。夫婦のコミュニケーションを先送りし、直視せずに済ませてきた夫婦の関係性が剥き出しになってしまうといってもいいでしょう。会話は続かず、家で過ごそうとしても居場所もなく、時間の過ごし方も知らないため、1人になれる書斎が欲しいという声も多い。こんな状態のまま、20年30年、同じ住まいの中で過ごさなくてはならないという悲しい現実も、高齢化社会のもう1つの大きな側面でもあるのです。子どもを基軸にライフサイクルを考え、ローンの返済を組み立てて、住まいを購入したり人生を設計していくより、夫婦を軸にしたライフスタイルを考えていかなくてはならない時代が、既に来ているのではないかと思います。定年後、夫婦2人で過ごす方から住宅相談の依頼を受けてお宅にお邪魔すると、子どもが独立して出ていった住まいに、元の間取りのまま住み続けておられる場合が殆どです。見回してみると、住まいの中で最もよい場所に位置している子ども部屋は、空き部屋が妻の部屋になり、リビングルームもダイニングルームも2大きりですから、妙に寒々しい空間が広がっています。

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