あなたは、食べることは楽しいですか。あなたは、着ることは楽しいですか。では、住むことは楽しいですか。現在住んでいる住宅に満足していますかと質問されて、「はい」と答えられる方は、「まあ」という方を含めても現在の日本では、ほぼ半数なのです(一九八八年住宅需要実態調査)建設省住宅局)。食べること、着ることにくらべて「はい」と答える人の比率はぐっと低いのではないでしょうか。「住むことは楽しいですか」と質問すること自体おかしなことだ、この住宅事情を知らないのかとお叱りを受けそうですが、私は、住むことを楽しめない状況はおかしいと思っているのです。
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子どもを産むことをあきらめなければならないような深刻な住宅事情はあまりに高い住居費負担、あまりに遠い住宅立地、あまりに狭い居住面積等、に対してどうして国民的運動が起こらないのでしょう。いくつもの理由があると思いますが、人間の尊厳にふさわしい住み方をしたいという要求が弱いからではないでしょうか。食べることに関心のない人や着ることに関心のない人がいるのですから、住むことに関心のない人がいるのも当然ではないかと考える方もおられるでしょうが、住居は家族の生活の器です。食べることも着ることも、夫婦や子どもや祖父母の家族関係も容れ、地域の人々との接点になる場でもあります。人間の生存上不可欠であり、関心がないということではすまないのです。現状に対するあきらめの気持ちからとはいえ、関心がないままでいることが、住宅事情の改善がすすまない原因でもあるのです。